February 27, 2009

雨の匂いはバクテリア由来:WIRED VISION

自然から学んだ、驚きの化学物質:画像ギャラリー(5/5):WIRED VISION
雨のあの独特の匂いは、雲ではなくバクテリアから来るものらしい。

雨滴が地面を叩くことで、土中の微生物が作り出すゲオスミンという化学物質が放出される。この物質は「土の匂い」を持ち、時に食物の風味を損なうことがある。特に水やワイン、ビート、魚介類などで、この物質がこれらを泥臭い味にする。

食物の風味を損なうこともある、ということにさらに驚き。

ところで、香りや匂いを思い出すとき、一般の人はどのようにしているのだろう。私は対象となるもの(もしくは関連するもの)を映像としてイメージする、そうすると香りや匂いの記憶がたまに思い出される。
雨上がりのアスファルトの匂いは、以前いた研究所の前の通りとリンクしている(なぜかはわからないけど)。その光景を思い浮かべると、匂いの記憶も再生される。

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February 26, 2009

正阿弥勝義「群鶏図香炉」:美の巨人たち

正阿弥勝義「群鶏図香炉」:美の巨人たち
良いものを見た。これでもかというばかりの作りこみが素晴らしい。炉の蓋の菊は金をベースに銀を組み合わせ、銀を削って金を露出させ、花心を金、花弁を銀としている。
ホメロスのイリアスにて、鍛冶の神ヘパイストスが英雄アキレウスの盾をつくるときの描写を思い出させるような一品(その盾には世界が刻まれていたのだが)。
美術館は京都にあるということで、いずれ観にいこうと思う。

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February 22, 2009

蔵王

Zaoh

蔵王へスキーツアー。リフト券を買えば、頂上の樹氷を見ることができてお徳。グローブしてても指先が冷えるくらいの寒さだけど。
コースについては、大森ジャイアントコースが斜度、広さで丁度良かった。黒姫は長いコースでよいのだけれど、やや緩斜面気味。とはいえ一年ぶりのスキーには丁度良かったとも言える。
各スキー場の連結がやや悪く、移動のために歩く距離が長いため、ボーダーには大変かもしれない。
雪質は去年のニセコ(3月)よりも良い。仙台空港からバスで1時間程度というアクセスのよさもポイントではないか。
地元名産の玉こんにゃくはおいしかった。

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February 07, 2009

『ネクスト・ソサイエティ』P.F.ドラッカー

『ネクスト・ソサイエティ』P.F.ドラッカー, ダイヤモンド社

何を重視するか、何に敬意を払うか、という点は、社会の繁栄にとって重要。
p.87

ところが、1850年代までにイギリスは産業国家としての優位を失いはじめ、最初にアメリカ、次にドイツに抜かれた。その原因が経済や科学にあったのではないことは広く知られている。主な原因は社会にあった。

イギリスは(ドイツとは対照的に)産業を牽引する製造テクノロジストを(経済的、社会的に)評価しなかったため、人的資源の有効活用の機会を失った、ということ。

では、現在において人的資源を有効に活用するには、どのようにすればよいか?社会を牽引する者は何(誰)か?どのように評価するか?それが本書のテーマ。

企業においても、報酬や評価は人材の有効活用の手段である、ということが「経営者の条件」に示されている。組織改革を行う際に、重要なポストに守旧派が選ばれてしまい、改革が頓挫した例が紹介されていた。

「経営者の条件」(ドラッカー選書1)P.F.ドラッカー, ダイヤモンド社, p.189

行動のための責任が明確化され、責任を与えられた人たちが必要な行動をとる能力をもつだけでは十分ではない。評価の基準や、仕事の水準や、動機を変えなければならないことがある。さもなければ彼らは、心理的な葛藤によって行動できなくなってしまう。

「経営者の条件」(ドラッカー選書1)P.F.ドラッカー, ダイヤモンド社, p.190
新しい方針とは逆の行動が褒賞を受けるのであれば、みなが、その逆の行動こそトップが本当に望み、報いようとしている行動と受け取る。

その他、社会システムと人材活用というつながりでは、「ローマ亡き後の地中海世界」が記憶に新しい。

「ローマ亡き後の地中海世界(上・下)」塩野七生, 新潮社
トルコ帝国は海上戦力の欠点を補うために、海賊に報酬や地位を与えた(このことが、海賊に優秀な人材を惹きつけることにもなった)。

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January 07, 2009

携帯電話の脳腫瘍リスクを調べる史上最大の調査、中間報告は最悪:Gizmodo Japan

携帯電話の脳腫瘍リスクを調べる史上最大の調査、中間報告は最悪:Gizmodo Japan
Interphoneが携帯電話ががんの原因になるかどうかを調べる史上最大規模の研究を進めています。13カ国の患者から6400もの腫瘍の症例を集めて検証中のもので、2009年初頭には最終結果が出るんですが、その中間報告が、なんとも最悪な結果なのです。

この調査でイスラエル人研究者たちが発見したのは、携帯電話を使う人は使わない人より脳腫瘍ができる確率が50%も高いこと。

携帯電話が脳腫瘍のリスクを上昇させると仮定すると・・・
・リスクを軽減させる技術はあるか?(そういうものの開発はインセンティブとなるだろう)
 (また、リスクを軽減させる使用方法はあるか?短時間なら問題ない、というのならば、通話時間制限(or監視)機能を付けるなど)
・リスクを高めている原因は何か?
・携帯電話以外にもリスクを高める可能性のある機器はあるか?
・携帯電話を諦め、固定電話に回帰することになるのか?(携帯電話の使い方は変化するのか?ライフスタイルはどのように変化するか?)

いずれにせよ、結果報告が気になるところだ。

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December 14, 2008

ある意味残酷な実験

WIRED VISION:犬にも「公平の感覚」がある:「倫理的感覚」の起源は

犬の実験の話。

御馳走がいっぱいある状況では、2匹ともほぼ毎回お手をした。御褒美を与えないときは、2匹は30回中20回しかお手をせず、ご褒美をねだってひときわよく吠えた。だが、1匹だけにご褒美を与えると、御褒美をもらえなかった犬は12回しかお手をせず、他のどのテストのときよりも著しく動揺を示した。

# 私が動揺する。

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November 24, 2008

『[改訳新版]人間性の心理学』A.H.マズロー

『[改訳新版]人間性の心理学』A.H.マズロー著, 小口忠彦訳, 産業能率大学出版部刊

「いかにしたらよい人間でありうるか」という問題に関する、心理学的アプローチ。面白い本であったが、一部気をつけるべき点もあるなと感じた。

面白かった点
・科学における問題中心的傾向対手段中心的傾向:手段中心的科学者は、問題に技術を合わせるのではなく問題を技術に合わせてしまう傾向がある。(p.20)
・欲求のヒエラルキー(生理的欲求、安全の欲求、所属と愛の欲求、承認の欲求、自己実現の欲求)(p.56-)
・自己実現的人間の全体的特性(p.228-)

気をつけるべき(と私が思った)点
・欲求のヒエラルキーなどについては、これも一つのものの見かたである、という認識が必要だろう。(自己実現的人間の特性でもある)「ものごとのありのままを見る」ためには、決まりきったものの見かたはよろしくないだろう。

・自己実現的人間の被験者や結果の解釈についての注意
自己実現的人間として選ばれた被験者 p.233-
神経症、精神病質、精神病に当てはまらないこと。
過去あるいは現在において、安全や所属、愛、尊厳、自己尊重などを求める基本的な要求と、知識や理解を求める認知的な要求が満たされていることを、あるいはわずかではあるが、このような欲求が克服されていること、のどちらか(に当てはまる人)。

データの収集と提示 p.227
これに加え、被験者数がすくなかったことや、多くの被験者に関するデータが不完全であったことのために、量的に示すことは不可能であり、ここでなしうる唯一のことは、価値がありそうなものについての印象を合成して呈示することである。

(下線は私による)

以上の前提条件から、自己実現的人間の全体的特性などが述べられていることに注意する(その後の研究結果はわからないけれど)。

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November 13, 2008

名を与え、制御する

・・・というとまことに呪術的だが、分散分析の話だ。
分散分析は、偏りの原因となりそうなものについて定義、分類し、それが確かに影響力をもっているかを検討することで、誤差を小さくできる(精度を高める)ことができる。
たとえば、地域によって、同じ作物を植えても収穫量に影響が出ると考えられるならば、"地域間"の変動を定義し、いくつかの地域から取られたデータ(収穫量)を比較する。
品種によって収穫量が異なると考えられるなら、同様に"品種"を定義し、品種間で収穫量を比較する。
分散分析の面白いところは、"地域間"の影響も"品種"の影響も同時に評価できるところだ(適切に計画を組む必要があるが)。
名を与え、式を使い、見えない影響を明らかにする・・・とても怪しげだ。

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November 09, 2008

『「経済人」の終わり』P.F.ドラッカー

『「経済人」の終わり』P.F.ドラッカー, ダイヤモンド社

ファシズムについて分析した本。ファシズムが台頭しているさなかに書かれた(執筆開始1933年, 初版1939年)、という点で価値があると私は思う。

政治家を評価する際のいくつかの視点:
支持を集めるために他者を批判していないか?
問題を解決するための建設的な意見を持っているか?それは実現可能か?
批判する側が正しいとは限らない。
# 自分が何かを批判するときにも気をつけておくことだ。

以下、要点を抜粋。

p.10 ファシズム全体主義の特徴
(1)ファシズム全体主義は、積極的な信条を持たず、もっぱら他の信条を攻撃し、排斥し、否定する。
(2)ファシズム全体主義は、ヨーロッパ史上初めて、すべての古い考え方を攻撃するだけでなく、政治と社会の基盤としての権力を否定する。すなわち、その支配下にある個人の福祉の向上のための手段として政治権力や社会権力を正当化する必要を認めない。
(3)ファシズム全体主義への参加は、積極的な信条に代わるものとして、ファシズムの約束を信じるためではなく、まさにそれを信じないがゆえに行われる。
p.18 ファシズム全体主義だけに見られるこれらの三つの特性、すなわち、前向きな信条の欠如と過去の否定、権力の正当化の要求の否定、信条と公約に対する不信ゆえの大衆の信任こそ、分析の基礎とすべきものである。
なぜ人々に支持されたのか?
p.21 大衆の絶望こそが鍵である
旧秩序は崩壊したが新秩序は生まれてこない。その結果は混沌である。絶望した大衆は不可能を可能とする魔術師にすがる。労働者に自由を与えつつ、産業家に工場の主導権を回復させ、小麦の価格を上げつつパンの価格を下げ、平和をもたらしつつ戦争に勝利し、一人ひとりの人間にとってすべてとなり、あらゆる人間にあらゆるものとなることを約束する魔法使いにすがる。
註:
旧秩序:ブルジョア資本主義およびマルクス社会主義(そしてキリスト教教会)
崩壊の原因:(第一次)世界大戦、大恐慌
魔術師:ファシズム(ファシスト)

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November 08, 2008

lme4のmcmcsamp()の結果をcodaのsummary()で評価するには

R 2.8.0 Windows版での話(2.7.2でも確認しているが)。 library(lme4)のmcmcsamp()の結果はlibrary(coda)の関数(summary()など)で評価するようだけれども、R(もしくはlibrary)のバージョンアップにより、mcmcsamp()の結果を直接summary()できなくなっている模様。
mcmcsamp()の結果(mcmc.result)を以下のようにするとcodaのsummary()で評価可能となる。
mcmc.result.coda <- as.mcmc(as.matrix(mcmc.result))

# 無論、mcmc.result.codaやmcmc.resultは任意の名前でok

ちなみに、as.matrix()はlme4の関数、as.mcmc()はcodaの関数。

参考(というよりネタそのもの):
Re: [R] Coda not providing summary on mcmc object
> library(lme4)
> library(coda)
> # mcmcsamp()のhelpにあるExamples, 結果は省略
> (fm1 <- lmer(Reaction ~ Days + (1|Subject) + (0+Days|Subject), sleepstudy))
> set.seed(101); samp0 <- mcmcsamp(fm1, n = 1000)
> str(samp0)
> summary(samp0) # summaryだとこのような表示に
 Length   Class    Mode 
      1 merMCMC      S4 
> samp.coda <-as.mcmc(as.matrix(samp0)) # 変換
> summary(samp.coda) # codaのsummaryで評価

Iterations = 1:1000
Thinning interval = 1 
Number of chains = 1 
Sample size per chain = 1000 

1. Empirical mean and standard deviation for each variable,
   plus standard error of the mean:

                Mean      SD Naive SE Time-series SE
(Intercept) 251.6126 5.19303 0.164218       0.149740
Days         10.5041 1.81383 0.057358       0.058195
ST1           0.5555 0.14427 0.004562       0.016128
ST2           0.2507 0.06731 0.002129       0.008906
sigma        27.0448 1.62781 0.051476       0.113301

2. Quantiles for each variable:

                2.5%      25%      50%      75%    97.5%
(Intercept) 241.6935 248.1283 251.5965 255.1829 261.7457
Days          6.8311   9.4026  10.4911  11.7059  14.0774
ST1           0.2606   0.4638   0.5555   0.6477   0.8379
ST2           0.1567   0.2039   0.2417   0.2826   0.4358
sigma        24.1439  25.9237  26.9480  28.0461  30.6154


mcmcsamp()の結果をlibrary(coda)のsummary()で評価することに関する参考サイト、書籍
生態学のデータ解析 - lmer MCMC 計算
ベイズ統計データ分析』古谷知之, 朝倉書店 p.127

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